クロは捨て犬だった。

近くの土手に2匹兄弟で捨てられていた。女の子と男の子。
中学生の私達は2匹の飼い主を探して、学校にポスターを貼ったり、知り合いに聞いて回ったり帆走した。
女の子は、飼い主が見つかった。でも、男の子は見つからなかった。
そう、ちょっとしたブサイクだったのだ(笑)
そのクロが居なくなった、私達の前からずっと永遠に。


こげ茶色の毛に、目の上には平安時代の麻呂の様な丸い模様。
放っておくと村山元首相の様になってしまう眉毛と、ヤギみたいにのびるヒゲ。
散歩デビューしたての頃は
「・・・変わったワンちゃんですねぇ・・何という種類の犬ですか?」
と真顔で聞かれる度に、適当なカタカナ名で珍しい洋犬なんです、といつか言ってやろうと思っていた(笑)
でも、愛想が良いので色んな人に可愛がってもらった。
動物病院でさえ、いつも特別な半額患者(犬)。先生にまで良くしてもらった。


当時うちには、柴犬のゴンタが来たばかりだった。
父の飼ってもいいよの言葉がなければ、うちにはいなかったかもしれないクロ。
ウチにきてくれたお陰で私は色んな事を学んだ。


ウチに来てくれてどうもありがとう。
ばいばいクロ。